『サブスクリプションは「市場淘汰」「市場再編」を引き起こす』
「マスプロダクション(大量生産)」型から「マスカスタマイゼーション(個別ニーズ対応)」型に市場が変化しつつあるなかでの業務プロセスや、個別サービスの管理に求められる緻密さ
だれもが自分にあった個別のサービスを求める時代に
数年前まで、日本の主たる携帯電話会社は3社でした。今や、規制緩和によりMVNO事業者が多数参入し、選択肢が増えました。そうしたなかで、既存の携帯電話会社は、家庭のインターネット光回線や、電力やガス、一人一人の契約から家族での組合せの割引きプランといった具合に様々な契約形態を用意し、サービスの強化と他社との差別化を図る戦略をとっています。いわゆる、サブスクリプションサービスの組合せ販売という戦略です。
結果、数年前までおおよそ横並びのメニューの中で選択し、決定されていた携帯電話会社への支払料金が、現在においては、同じプランやメニューを選択することが少なくなり、パーソナライズされたプランをもとに支払料金が決定される、という状況に変化しました。
サブスクリプションビジネスにおいて、特に個人(コンスーマ)の利用者に対しては、飲み放題、食べ放題といった「放題」好きの文化があるためか、定額固定のお安いサブスクリプションプランが望まれる傾向にあります。一方で、従量課金(使った分だけ)という考え方も、平等性の面からも利用者にとって理解を得やすい料金体系といえます。特に、従量課金への好適性は、法人(ビジネス)向けのサービスにおいて強くなるように感じています。これは、社員数や利用量など、企業規模や利用方法でそもそもサービスの利用状況に大きな違いが発生する、という特性もあるのだと思います。
使った分だけ、というニーズ
成長が期待されるIoTの分野においては、IoTサービスを成り立たせるための要素となるクラウドコンピューティングの費用や、SIMの通信料などが固定ではなく、従量料金で使用量に応じて課金させるものがほとんどであるため、販売側の価格を固定プランにする場合であっても、原価側にあたるそれらの費用が変動することを考慮する必要が出てきます。
さらに、料金の計算の面のみならず、IoTを実現する際に活用されるSIMカードとそれに伴う通信料の管理は煩雑で、1,000個のセンサーを設置すれば、1,000個のSIMカードと個々の料金を管理する必要が発生し、また、設置後の交換や、解約などの契約自体の管理も、大変煩雑になってきています。こういった新しい煩雑な業務プロセスに対応しつつ、複雑な料金体系を計算する、という課題を解決するためには、もはや手作業では不可能です。 では自前で作るか、弊社のような既にできている製品を利用するか、という選択が出てくるのだと思いますが、弊社のような標準化されたプラットフォーム型のシステムの方が投資コストも少なく、導入までの期間も短くスタートすることができます。例えば、クラウドコンピューティングを提供する会社や、SIMカードと通信サービスを提供する会社の多くは、APIというシステム連携による自動化を推奨していますが、各社の仕様にあわせてAPI連携システムを自前で開発し、維持していくのはとても煩雑です。この点だけをみても、汎用製品ならではの集合知的なメリットをご提案できていると考えております。
サブスクリプションは「市場淘汰」「市場再編」を引き起こす
このように、サブスクリプションモデルへの指向は、「マスプロダクション(大量生産)」型から「マスカスタマイゼーション(個別ニーズ対応)」型への転換、というモデル変革と表裏一体になっています。これに限らず、市場が変化しつつあるなかで、業務プロセスの変更や、個別サービスの管理に求められる緻密さの高まり、といった事業者への負担は増す一方です。一方で、モデル変革を実現したプレイヤーだけが勝ち残り、それ以外は「下請け」的に物を作る事業者になる、という厳しい淘汰の時代に入ってきています。このような時代の只中で競争に晒される企業様は、自社のコアコンピタンスに経営資源を集中し、必要ではあるが自社製でなくてもよいものには汎用製品を活用することは、有力な選択肢になるのではないでしょうか。