『新しいつながり、新しいデジタル共創』
企業をとりまく環境として、世界的な視野でみた場合の動きは何かありますか?
まず、「サーキュラーエコノミー」への指向が全世界的に強まっていることは、少なからず今後の各産業に影響を及ぼすと思っています。「サーキュラーエコノミー」とは、ピーター・レイシーとヤコブ・ルトクヴィストが2015年に著した『WastetoWealth‒TheCircularEconomyAdvantage-』に明るいですが、端的にあらわすと、製品・部品・資源・サービスを最大限に活用し、それらの価値を目減りさせずに永続的に再生・再利用し続けるモデルを指し、サーキュラー型のサプライチェーン、回収とリサイクル、製品寿命の延長、シェアリング・プラットフォーム、サービスとしての製品などが代表例となります。具体的には、遊休不動産を活用した民泊や、車の共同所有によるカーシェアリングなどのシェアリングエコノミーなどもこの範疇となります。特に、EUが昨今、さまざまなサーキュラーエコノミーのための施策を採択していることも、この動きを大きく後押ししています。
このサーキュラーエコノミーが、本質的にサブスクリプションモデルと表裏一体であることは申し上げる必要もないかと思いますが、もうひとつ、「アセット(資産)の保有の仕方」という、今後起こっていく大きな変革の源流となっていることは、非常に大事なポイントではないでしょうか。
その流れを受けて、ビープラッツとしては何かアクションがありますか?
サーキュラーエコノミーが産業界に指向させる変革のうち、サブスクリプションモデルへの変革については、弊社の生業がサブスクリプション統合プラットフォームを開発・提供することですから、もともとこの点でのベクトルは合致しています。一方、両輪のもう片方である「アセット(資産)の保有の仕方」の変革ですが、具体的には、リースなどのファイナンスと組み合わせ、例えばモノの所有権をリース会社が保有したままにする(使用者に所有権を移転しない)ことにより、サーキュラーエコノミーの実現をすすめている事例が、ヨーロッパではすでにポピュラーなものになっています。
一方、IFRS(国際財務報告基準)では、サブスクリプション型のサービスについての会計処理が日本の会計基準とは異なってきますが、日本企業でのIFRSの導入の増加と歩みを揃えるように、サブスクリプションモデルへの取り組み意識の高まりがあるように感じられます。
弊社も、こうしたアセットを組合せた新ビジネスを展開する企業に、トータルでサービス提案を実現するため、東京センチュリー社と資本業務提携を行い、国内の大手製造業を中心にサブスクリプションモデルとアセットモデルの両輪での提案を開始しています。すでにM2Mの流れから先行する工作機械メーカーなどに続き、医療分野、農業分野などを始め、あらゆる既存分野での事業構造の変化の検討がすすむものと考えております。
日本の製造業はグローバルでも市場No.1の企業が多数あり、それらの企業がいち早く自らが自らの市場にあった変革を推進していくことによって、次の時代のグローバルリーダーとして継続的に成長していくことを、同じ日本人として期待し、応援しています。